この世界を離れて ★/atsuchan69
 
んの真横に立っている。

 さあさあ おたちあいの方々
 わたしはお姫さま お城のかごの鳥

 ある日 旅の詩人がお城へ来ました
 彼は雪解けの大地のようにあたらしい顔をして
 また春を告げるようなすがすがしい声で言いました、

 ――お姫さま 
 わたしはあなたの瞳にうつる世界を見ました
 なんとそこは美しいのでしょう
 どうかわたしもそこへお連れ下さい

 お姫さまは言いました、
 ――はい。あなたもそれを見たのですか
 でもわたしはそこへゆく道を知りません
 なにしろこの城から
 わたしは一歩も外へでたことがないのですから

 すると詩人は言いました、
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