寒空に泣く/明楽
 
真冬の公園ベンチにひとり
冷蔵品のように座っていた

と 鈍色の空に
クカカカ
声が響いた

 鳥だ 近くに鳥がいる

思いがけず嬉しくなり
そちらを見やると
熱を帯びた視線に驚いたのか
ゆらり 電線を弛ませて
遠くの方へ飛んでゆく後姿

 待って!
 行かないで!

思わずこころが叫んだ

ただ 一瞬
そこ と ここ に
たまたま居合わせただけなのに
さみしいこころは
その一瞬にすら すがってしまって

鳥よ
お前が立ち去った後
わたしは今まで以上に
ひとりになってしまったのだよ



2007.12.24
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