ノート(風)/木立 悟
 

藪には花が咲いた
鳥の姿はなかった
銀を捜す風の目に
鳥は映らなかった



太陽は傾いだまま
午後の熱を失わず
光の刺さる音だけが
森のなかに響いていた



鳥は 自身よりも冷たいものを求めて
空へ昇ったのだ
その目に
風は映らなかった



風たちは互いに手を繋ぎ
鳥の色をした空を見上げ
光の音を飛び越えながら
森のなかを廻りつづけた



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