グラスの影 /
服部 剛
亡き人を偲び
酒の机を囲むと何故か
予想外におまけな
一本のビールや
皆の和に
入りたそうな誰かの為に
余分なグラスが運ばれる
皿に盛られたつまみはどれも
いつもより少し機嫌よく
ひかりをおびた表情で
机の上にぶら下がる
裸電球へ
しろいゆげを
昇らせる
皿とグラスがいくつも並ぶ
机のふしぎな余白に
亡き人の面影に似た
空のグラスは
くっきり
影を落とす
戻る
編
削
Point
(6)