グラスの影 /服部 剛
 
亡き人を偲び 
酒の机を囲むと何故か 

予想外におまけな 
一本のビールや 

皆の和に 
入りたそうな誰かの為に  
余分なグラスが運ばれる 

皿に盛られたつまみはどれも 
いつもより少し機嫌よく 
ひかりをおびた表情で 

机の上にぶら下がる 
裸電球へ 
しろいゆげを
昇らせる 

皿とグラスがいくつも並ぶ 
机のふしぎな余白に 

亡き人の面影に似た 
空のグラスは
くっきり 
影を落とす 







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