「詩境」/菊尾
 
数列のように確かな存在で
鎖のように深く凛と
続いていきたい
あらゆる事を差し置いてでも

混じり気の無い色に
侵蝕されていく
それは冬の中心に似ていて
意識が霞がかるのを止められない
湖に降り始める雨
朝が時間を遠ざけて
私は継続する事を望んでいる

撒いた灰が訪れるのは次の景色
支配が及ばないその場所で輪が広がって行く
喉を震わす
唄声は枯れないまま
あなたが私を求め始める


握っている鍵で開けていく扉のその先に
満ち足りている果てが見れればそれでいい

包みこまれるような空へ手を透かす
指の影が額へ重なり隙間から覗くのは偽りの無いただの空
奥歯を少し噛む
春風に森が揺れる
息吹と呼吸の音
生きている

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