秘匿された/鎖骨
 


なにも言いたくないって
そういうときがお前にはないのか
あさがおの蔦がまた伸びてる
おかしいな、こんなに寒くて狭い夜なのに
誰かの言葉を、まるでわかったつもりになって
自分の内奥の叫びなんて科白を吐いてやしないかい
あーってして
口の中を見せてよ
噛み砕かれもしないままに沈んでいった人たちの名句辛苦美辞麗句が
奥歯の間にはさまっているんだろう
きたない、きたない口の中
その匂いごと愛してやるから
開けろよ、早くその小奇麗な薄い唇
できなきゃおまえは明けていく空に
祈ることなんて許されやしない




ならないよその耳には
届かないよお前の蝸牛には

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