しろいひと/服部 剛
霞(かすみ)のかかる朝
交差点を横切る車の窓に
雲間から射す
日が光った
( 冬の澄んだ路上に浮かぶ
( かたまった光の残照
次の瞬間
「通りゃんせ」の唄は流れ
青信号の「しろいひと」の姿勢で
まばらな群(むれ)は
そろえた足を踏み出す
目に見えぬ
法則の手に背を押されながら
なにもかかれていない標識を通りすぎ
首のすきまにマフラーを巻く
機械仕掛けの背の群は
今日も進む
木枯しに枯葉の舞う
冷たい道の向こうに立つ
今日という日の門へ
すいこまれる
しろいひと
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