夕刻・聖蹟桜ヶ丘/たちばなまこと
自転車に飛び乗って聖蹟桜ヶ丘へと漕ぎ出す
夕刻は燃えはじめていて
ペンタブレットを壊してくれた天使に少し感謝して
関戸橋
私みたいに粋がった多摩川を見下ろした
嵐がえぐった流域は
新しく生まれたまるで知らないような顔で
産声で
ジャバジャバと遠い雲へと泣く
自転車が乗せているのは
密室の感情
おしゃべりを許されない舌
中指のペンだこが裸で踊りたがっている
みぞおちの内側で波打つ壁の
眉間への響きは計り知れない
夜の序章
駐輪場
せいせきC館を駆け上がる
B館への歩道橋に立ちすくむ大人たちの向こう
街路樹に吸い込まれながらむくどりたちが
カーニバルをや
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