五線譜/
服部聖一
しわしわの祖母の指を見る
指のシワはそのまま五線譜のようにのび
窓を抜け
空の彼方まで飛んでいった
飛びつづけた時間の
縫いとられた時間の
針と糸の通った縫い合わされたところ
日々の音のこぼれ落ちる小さな穴がつづいている
衣擦れのちいさな音
日常のちいさな音
五線譜に置かれた音たちが
ちいさく手のシワが
深まっていく
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