流れて/あとら
青空の下、作品が並べられている
授賞式に集まった名優たち、やはり洋モノにはかなわない
何種類もの香りに鼻がおかしくなりそうだ
彼の作品が並べられている
彼は空の青さに気づかない
陽のあたる部屋で、灯を消して贈られる
日の暮れた室内で、火を付けて贈られる
作品は彼の手を離れていく
何も知らない
何も見えない
彼の作品は多くの人に笑顔を贈る、でも彼はその笑顔を知らない
今日も材料を量り機械に入れスイッチを入れる
流れていく作品をじっくり吟味しながら、いつかの夢を思い出していた
青い空はどこへ、今は遠く
すべての灯を消し、すれ違う人たちに笑顔を送る彼は
いつもと違う道を帰っていく、残された香りは彼のものでは無かった
今日も空は青い、そこに彼はいない
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