密葬の夜 〜青の日〜/服部 剛
 
のひとりが言った 

寺西さんの故郷の 
鳥取まで行けない僕等は 
在りし日の彼と 
打ち上げでよく飲んだ飲み屋で 
あの「青の日」の夜のように 
互いの欠けたこころを晒し合う 
僕等だけの通夜で 

( 想(ゆく)い羽 )の姿で 
( 遥かな国 )へ 
 羽ばたいてゆく 
 一人のたましい

を見送った 

深夜二時 
僕等の去った飲み屋の席で 
からだの透けた寺西さんは 
丸みを帯びた背中で 
いつまでも独り酒を飲んでいた 

テーブルの真ん中に置かれた 
小さい鉄板に
食べ残しのコーンは散らばり 

いつのまに 

バターの姿は 
消えていた 







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