七人の話 その3/hon
 
つく前からここにいて、ずっとここで育ったからな。もう九才だっけ。初めてここに来た頃、俺たちはちょうどそれくらいの年齢だった。実際、あの子らは、俺たちに見えないものが見えたり、俺たちには感じられないものが感じられるのかもしれない」
「ジェネレーション・ギャップ? イヤだな、そんな年の差でもないのに」と、仁乃は苦笑した。
「常識的には、一世代ってのは十五年くらいの間隔だそうだけど、ここではそんな時間のサイクルは通用しないんだろうな」
 そういう秀人は十七才、仁乃は十六才。この二人が、屋敷の七人の最年長者である。
「午後はどうしてるの?」
「昨日の続きだな。水星棟の九階から。順に降りてくる」
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