スーパーマーケットと層の日/サトリイハ
剥いたとて何もないと、よく怒られたのを覚えています。剥いたとて硬く冷たく理路整然とした黒い実がてのひらにころんと転がるわけではありませぬと、怒られましたがしかしあたしは思うのです。あたしが欲しいのはその硬く冷たく理路整然として黒い種子なのではなく、剥く行為の合間には剥かざる行為もあり主体客体逆にしましたならば行為も逆となって存在し、そのミルフィーユ状に重ね合わされた瞬間の集合体であるこの植物を体験すること、それ自体、なのであって、結果として硬く冷たく理路整然とした黒い種子があろうとなかろうとそれには全くもって興味はないのです。剥く意識と剥かれる意識と剥かざる意識と剥かれざる意識がこの薄暗い台所に順
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