「プラチナ」/菊尾
全部デタラメだったから
夜の濁流に呑まれていった
慌てふためいて流れ落ちる星を見た
消え失せた彼女の背中が白く浮かんでいた
誰かの手が加われば痕になる
だから誰も必要としなかった
それでもどうせ残るなら
せめて自分の手で残したかった
醜くても頷ける
誰にも触れてほしくなかったんだ
出口がどこか分かってるだろ
階段を駆け下りていく彼女は
笑いながら弾んだステップで下りて行く
姿は弧をスカートは円を描いた
螺旋しながらどこまでも落ちていく
幼い頃に聴いたあのメロディーを
今また、耳にした
忘れてしまったよ
何回でも口にする
井戸に投げ捨てた感情
知っていた嘘
くぐもった声で
「また、電話する」
と
彼女が言った
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