その夜/んなこたーない
 
その夜のパーティは
だしぬけに終幕のベルが鳴る
窓の外のくらやみに
参加者はそろって目をこらし
降りつづく雨は季節はずれにあたたかい

ピアニストは鍵盤のうえにうつぶせる
すると 会場にハンマーのような雷鳴がとどろく
男たちは両手をあげ
女たちはハンカチを投げた
そうした混乱と熱狂のなかで
参加者たちは
そろって歴史的現実を学ぶ

道に迷ったぼくらの頭上に
降りつづく雨も季節はずれにあたたかい
濡れた肩を寄せあうぼくらは
愛と習慣を取り違えて
はげしく愛しあっていた
早く 早く この歌は3分もすれば終わってしまうわ
そんなの嘘さ いいえ本当よ
それでも道はわからない
どうしても ぼくらはパーティ会場へたどりつけない
どうして なぜ ここは何処 あなたは誰
今日はいったいどこへ消えたの
そのとき 向きあったぼくらのあいだを
だしぬけに一筋の閃光が走る
「ああ ぼくらのLifeに西部活劇は不必要だろうぜ!」


その夜
世界中のパパとママが 生殖行為にふける夜。
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