かむなび/音阿弥花三郎
 
森々と山は深く
陽は木々と雨滴を漉して降りて来るので
幾重にも衣に包まれたような暗さが
しかし夜ではない暗さがもうずっと続いている

歩いても歩いても行着く処はない
行き着いたとしても留まる訳にはゆくまい
迷子となって彷徨うこどものように
知れず知られずに歩いているのだ

かむなびの神よ
わたしは弑逆者です
もう故里には帰れますまい

かむなびの神よ
何処へ行っても、もう人は居ますまい
わたしはそれをお伝えに来たのだ
戻る   Point(0)