銀杏並木/いすず
 
あなたと歩いた大学通りには
銀杏並木があるの

黄色に色づく頃には
いつも一緒に歩いてた

緑の若葉の匂う頃も
葉がみな落ちてしまう枯れ木の頃も
銀杏のそばを通ると あたたかい気持ちがする

銀杏並木は ずっとつづくアーチ
図書館から ある会館の前まで
短い道も 一緒に歩くと 長く感じた
あなたの肩先に触れて ぬくもりを感じた

銀杏の実は見たことがないと話していたね
臭くて硬いけれど、食べると美味しいの
そのはなしを興味深げに聞いていたね

あの頃の銀杏をふたりで思い浮かべながら
また、歩いてみたいね この寒い北の街で

銀色の夕暮れを歩いていると

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