鬼の左手 (2/3)/mizu K
 

足は/

幼子が杖をついてちりりちりりと音を後ろに残して歩いてい
ると、その残した響きを拾うようにして背に近づいてくる気
配、何者かもわからぬまま、汗の玉を顎からぽとりぽとり落
としてじりじりと前だけを見て歩いているのですが、ふいに
背後で鈍青のようなにぶい金属をすりあわせたような音色が
し、それから足がひた、ひた、と近づき、若い男の、もうし、
もうし、という声がしました



(3/3)http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=140913 に続く

*m.qyiさんのwebマガジン「the contemporary poetry magazine vol.3」参加作品
http://www.petitelangue.com/CPM3/index.html



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