キリンの日/サトリイハ
 
どうしてもキリンが見たいのと言ったときはすでに日が暮れており動物園も閉まっており、それでもどうしてもキリンが見たいのと言ったときに君が見せてくれたキリンは冷たくて固くて動かなくて砂に埋もれていて、でも滑ることができた。あたしは鉄棒から伸びる君の優しさの影、が本当にとてもうれしくて今この瞬間に地面と平行と直角なる線をひいてパノラマ、のように純粋な四角に切り取ってしまわなければ縁、を与えてやらなければあたしはぶよぶよと膨らむ温い水、になってしまいそうだったから切り取るすべを持たないあたしは黙ってブランコを漕いだのだった、あたしの前足で後足で空気をかき混ぜてぶよぶよになりかけの温い空気(肉色の粒粒)を拡
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