飼い主と犬 /服部 剛
 
中年サラリーマンの膝上に 
大事に抱えたバスケットの蓋(ふた)を開け 
ひょっこり子犬は顔を出す

うたた寝首を垂れている 
飼い主の顔を覗(うかが)い 
時折子犬は体を反らす

何処(いずこ)へ運ばれゆくのやら 
どんな明日が待つのやら 

仕草に気づいた飼い主は 
毛なみをそっと撫でてやり 
子犬はあくびをひとつ 

すべてをゆだねるように 
開いた蓋の底に 
子犬は顔を埋(うず)めた 







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