十二歳/北野つづみ
 
おはよう と言うよりも先に
十二歳になったよ と
報告をする朝
きみはまだ翼の下
生まれてきて良かった? の問いに
素直に微笑む
きみのまだ知らない
悲しみと苦しみ 
平坦な道のりを願うよりも
強いきみであることを願おう
窓の外には空き地が広がっていて
人の手が加わらなくても草花は
貪欲に光を吸収し 
その背丈をぐんぐんと伸ばしていた
きみの生まれた あの夏の日
遠く目を細めれば
きみのすらりと伸びた足が
柔らかな曲線を帯びはじめていることに
初めて気づく


二〇〇七年九月八日

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