孤独、分かつ夜/ライチ
車のテールランプに照らされながら
独りバス通りを歩いていた
馴染みのバーには足が向かず
辿り着いたはアイツと来るバー
独りで来るのは初めてだ
そんな事に気付きながら
店の扉を開けると
馴染みのバーのマスターの姿
独りで飲んでるなんて珍しい
普段も時折見せる苦悩の表情を浮かべて
「自分がわからない」マスターはそう謂った
アタシも同じ孤独を抱えていた
酒の力でテンションを上げて店に出る
それは知っていた
自らの求める方向性
経営者としての苦悩
如何しようもない霧の中
この人も彷徨っている事を知った
孤独を抱える者同士
ふらふらと
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