本日/
松本 涼
まるでひとつの季節が終わるように
僕は死んだので
周りの誰もがそのことに
気がつかなかった
僕だって少し前から
予想はしていたものの
実際にははっきりと
自覚している訳ではなかった
本日
暗い路地でじゃれ合う
親子の猫を観察している時にふと
ああやっぱり僕は死んだんだなあと
思っただけだ
そして次の季節が始まるように
僕は既に生まれていたので
多少の違和感と共に
僕は今そろそろと
辺りを見渡している
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