【蛤の詩】/
つむじまがり
ある日蛤は石につまずいて転んだ
石は蛤を笑った
蛤も蛤を笑った
蛤は転んでも焼かれても捨てられても笑っていた
なぜなら蛤は喜びの象徴だから
象徴としての蛤は蛤である前に象徴であり
象徴として存在するために蛤である必要があった
それは蛤が蛤として生まれる前から決まっている事だった
だから
蛤は 時々詩を書いているのだ
顔を歪めて
砂を噛みながら
吐き捨てるように
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