緑の芽 /服部 剛
 
朝食のバナナをほうりこみ 
口をもぐもぐさせながら 
ねぼけまなこで 
汚れた作業着をはく 

ポケットから取り出した 
昨日の悔しい仕事のメモを 
丸めてゴミ箱にすてる 

窓から日の射す机には 
「 あしたの 
  あたしは 
  あたらしい 」 
という本が置かれ 
ましろい表紙に 
小さい緑の芽を出していた 

鞄に本を入れ 
靴の踵(かかと)で立ちあがり 
玄関のドアを開く 

まぶしい朝日に頬は照らされ 
ぼくのこころのましろい表紙に 
小さい緑が芽を出した 




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