アデン 二/soft_machine
るらしい。ツガワのかおをひだり手で押してみたけれど気づかない。しかたないのでツガワの胸にのぼってふとんをととのえた。これならなんとかねれそうだ。まるくなったらベッドはお酒で甘くなった汗とまっ黒な髪のにおいがした。それからたばこと洗剤と、つんとしたあのにおい。
ツガワはちいさい息で眠っていたけど、人間のしんぞうの音がこんなにおおきくてゆっくりだって知らなかった。ツガワのしんぞうの音のほかには誰のあし音もきこえない。こんなに静かな夜ははじめてだった。
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