「下り坂からあなたへ。」/菊尾
ため息はどこにも行かないで
きっと足元に溜まっていく
足の先が冷たいのはそんな理由
もっと積もらせたら
心は何も感じなくなる気がする
べつにそんなこと望んでないけど
二日前に書いた返事には
伝えたいことの半分も書かれていない
器用な手先に憧れていたけど
今はそれよりもただ素直さが欲しい
下り坂では急かされる
駅のホームの蛍光灯と脇に生えているネコジャラシ
見慣れた電車が追い抜いていく
止まれと書いてあるから止まってみたりした
坂の途中、斜めの私
ピザ屋さんのバイクが道を曲がった
坂の下にあるトンネルから出てきた小学生達の黄色い
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