詩集に纏わるエピソード (1)/深水遊脚
詩作品がうまれて、詩集という形になるまでには様々な出来事がある。大部分は詩集を手にする読者には分からない。でも時々それらのエピソードの一部が栞やあとがきに書いてあって読者の知るところとなることがある。はっきりとは書かれていなくても大まかな想像はできる程度の手がかりのあることもある。こんなこともあった。古本屋で手にした詩集に、著者からの自筆の手紙がはさまっていたのだった。古本の売主、つまり詩集を贈られた人がその手紙を詩集と一緒に保管していたのだ。意地悪な想像をすれば、贈られた詩集がそのまま一度も開かれずに、何年かして手紙もろとも古本屋に流れたとも考えられる。でもせっかく想像するならもっといいほうに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)