「 空のつばめ 」 /服部 剛
 
腰を痛めて休養中のある日 
一本の万年筆を右手に持ち 
ノートを開いた
机に向かっていた 

窓の隙間から吹く風に 
浮かび上がるカーテンの 
見上げた空にはいつかと同じ 
つばめの群が横切った 

半端(はんぱ)に開いた左手が 
役に立たないわたしのように 
かなしく宙にうなだれていた 




戻る   Point(2)