ひまわり色のミルクポット/いすず
 
いようと
少し笑ってあなたに手を伸ばした、少し甘えながらそっと言った、
じゃあ、魔法使いになって元に戻してはくれないの?
傍にいて欲しいし どこにもいかない保証はないんだから
そのままがいいと思うよ
意地悪なんだ?
そう思うかな?
人間同士でなくてはいやでしょ?
ミルクポットのきみも案外可愛いかもしれない、いつまでも僕のものだから
そんなに不安?
いつも不安でいるよ
心配性なほど心配していたね

ミルクポットのおはなしでじゃれ合って ちいさな喧嘩をしたの
あなたの髪がひとみにかぶさって、王子様みたいだったの

ひまわり色のミルクポットのおはなし、今も覚えているかな
きっとあなたはいうんだ、僕の覚えていないことなどないよ
その太い両腕で抱え込みながら いつかのように
今日も 切ないくらいに 枕辺のおはなしがはじまるの
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