秋休み/服部 剛
 
今頃職場の同僚は 
( 老人ホームのお風呂場で 
( 曲がった背中の数々を 
( 汗を流して磨いてる 

棚の上から落ちたような 
予想外の秋休みに小道を歩く
「何者でもないわたし」 

 くるっくっく 

振り返った 
背後の空の遠くに消えた 
あの鳩の言葉のように 
「訳せぬもの」
がこころにふくらむ 
秋の午後 
高い空から
街路樹の枯葉とともに
降りそそぐ 
(風のうた)に立ちどまり 
わたしは胸に 
手をあてる 




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