『夕鬱』/しろいぬ
 


夜の淵
墜ちた「昨日」の
流した真紅
暁となり
闇を染めゆく
(朝)

高く高く
蝋の羽根など
掠りもせぬ
火に入ることすら
叶わぬ地虫
(昼。飛べず地に居る憐れな地虫)

暮れゆく陽
僅か爪立て
引き止める
「今日」の墓標に
何を刻むか
(夕)


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