その(名前)を、呼ぶ/山中 烏流
 
瞳を震わす息吹を
すべからく
祈り、と、呼ぶ
 
そんな
少女の小さなまつげは
時折、瞬きとは別に
揺らぐことがあるという
 
胸元で組んだ手の
その周りに、
祈りは宿るのだろうか
 
 
とにかく私が
するりと撫でた頬は
恥じらいを覚えるには
あまりにも紅く、染め上がる
 
振り向いた瞬間、
何かを許しながら
枯れ落ちていくような
そんな気が、した
 
 
舞い上がる髪の
見詰める先、全てに
祝福が宿ることを
少女は
まだ、知らないでいて
 
まつげを揺らす
私の輪郭を追っては
瞳を泳がすことを
飽きもせずに
飽きも、せずに
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