迷途/ならぢゅん(矮猫亭)
線。何台かの車が反対車線を抜き去って行った。あれから何時間たったのだろう。フロントガラスの向こうから赤い光が差し込んできた。ふと顔を上げると、いつまでもまっすぐな道の果てに太陽が低くぶら下がっている。男はエンジンをかけ、アクセルを踏んだ。どこまでも西へ。日の沈む場所へ。そこが出口でなくても構わない。
そのころ子どもたちは、母親に耳を引っ張られたり、背中を叩かれたりしながら、布団にしがみついていた。朝が来るのはいつも早すぎる。死んだ仔猫の夢が未だ頭の中でざらついていた。
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