白い疑問符 /服部 剛
パソコンの電源を落とした
画面の暗い鏡に
カーテンを閉めた隙間から
入る一筋の日射し
うっすらと照らす
ぼやけた私の白い頬
暗い鏡に映る自画像の
背後の壁に
風にたなびく
10月のカレンダー
誕生日の日付についた
○ を窺(うかが)う虚ろな私の瞳
カーテンを覗いて
開いた窓外に顔を出し
敷き詰められた家々の屋根を
見渡す
近所の家の
小窓からひびく
赤子の鳴声
高鳴る婦人のハイヒールや
からんころんと下駄を鳴らす男が
何処かへ通り過ぎる
川沿いの道
( せせらぎの音(ね)は絶えず今日も流れ・・・ )
今年も私は
自らの年齢(とし)に追いつけず
首を傾げるように
また一つ、年齢(とし)を重ねる
( わたしは 一体 誰・・・ )
パソコンの電源を落とした
暗い鏡の自画像に
一つの白い「?」が浮かぶ
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