花詠残影/悠詩
十年ぶりのあなたを見て
すこし寂しくなりました
わたしが
紅く染まり
散っていくさまを
じっと見ていたあなた
その輝かしい憂いを失い
探しているように感じます
時にすら消せないものを
忘れているだけです
迷わなくとも
会いたいときに
会いに来てくれれば
いいんですよ
あなたが変わったように
わたしも老いました
涙もろくなったようです
今度は
わたしの涙を手に取ってください
ああわたしには自身の涙の意味すら分からない
紅い葉は羞恥の表れなのか
それとも自身への怒りなのか
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