山下 清 /服部 剛
 
呑気(のんき)な仮面を被っていても 
ほんとうは 
わたしもあなたとおんなじように 
ひとつの大きい影を背負って 
流浪の旅路を歩いています 

木造校舎の開いた窓に 
手を振って 
歩き始めたあの日から 

灰色のしなびたシャツの 
ボタンだけはしっかり留めて 
胸ポケットは空のまま 
汚れたリュックを背中にしょって 

スケッチブックとペンを手に 
遥かな空の浮雲へ 
まっすぐ伸びる線路の
向こうへゆくのです 

時に深夜の駅舎を宿にして 
ベンチに裸で寝そべったまま
怪訝な顔した駅員に
叩き起こされながら 

時に水遊びの海に溺れ

[次のページ]
戻る   Point(7)