山下 清 /服部 剛
呑気(のんき)な仮面を被っていても
ほんとうは
わたしもあなたとおんなじように
ひとつの大きい影を背負って
流浪の旅路を歩いています
木造校舎の開いた窓に
手を振って
歩き始めたあの日から
灰色のしなびたシャツの
ボタンだけはしっかり留めて
胸ポケットは空のまま
汚れたリュックを背中にしょって
スケッチブックとペンを手に
遥かな空の浮雲へ
まっすぐ伸びる線路の
向こうへゆくのです
時に深夜の駅舎を宿にして
ベンチに裸で寝そべったまま
怪訝な顔した駅員に
叩き起こされながら
時に水遊びの海に溺れ
知
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