赤い扉 ?/海月
刹那の叫びの声のする方
深紅の瞳をした少女が
何も言わずにこちらを見ている
赤い扉は未だに開くことはない
指を売った少年が残りの指を売りに出す
手の中には掴む事の出来ない金
乾いた冷たさが肌を伝う
銀の鍵は電灯に掛けたまま
禁断の実を齧り
追い出された
私
純白のドレスが泥に塗れて
胸の薔薇は枯れ果てて
棘の痛みが消えていた
二度と帰らぬ
淡き希望の日々
想い描かない
戦慄殺戮の日々
教会の鐘は今日も鳴らないまま
青い果実の味は期待を裏切り
少女と少年は騙された事に気づかず
病の母親と兄弟に渡す
銀色の髪が風に靡き
空を裂く音が響く
それは罪の深さを物語る黒か?
それとも人らしさを演じる赤か?
流れ出す液体は渇いた地面を流れる
純白のドレスが赤黒く染まり
赤い扉は開いた
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