赤い扉 ?/海月
 
いつか、迎えの時が来る 
そう信じている
だが、実際の所は何も来ない 
遠くの街から響く鐘の音 
その鐘は見たことがない
僕らは未だその街に住むことを許されていない 
想像の中の街の姿
現実の中の微かな希望 
手を伸ばして摑んだ絶望 
闇の羽衣を纏いし天使 
「君は新しい扉を開けてくれのか? 
 例え、それが地獄でも快く受け入れよう 
 平凡な日々からの脱出のために・・・」 
血の雨は街を濡らした。 
待ち人は傘も差さずに遠くを見ていた。 
逃げることもせず、怯える事もせず。 
赤い瞳と青い瞳 
望んでいたんだ 
人の欠片の命を灯る日 
銀色の髪をした人形 
私は貴方を許さない 
壊れた右手が疼く 
僕は丘の上にて、その景色に微笑を浮かべていた
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