虚軸天秤/悠詩
 
目の前に横たわる死体から
なにを手に入れた

喉を縊ったその手は失ったはずだ
束縛を解いたその心は手に入れたはずだ

保存エネルギーを


電柱の上にとまった黒い少女
クスリと笑って黒球を落とす

落下物をニュートラルにニュートり
雑貨物をニートらにヘロドトす

馨しき方程式とやつれた視線
どちらが重いかしら?


エネルギーがどこかへ消えたというのなら
行く先を二十文字以内で説明せよ
これは不可逆だ


土中から顔を出した白い少女
クスリと笑って黒球を呑み込む

甘くて
せつなくて
忌々しくて
足しげくて

どちらの味ももったいないことよ


答えろ
摂理を



答えられるわけないじゃない


ふたりの少女
天秤を蹴飛ばして消えていく






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