キーボード/フクロネヅミ
言うことを聞かない。
素直に変換だけしていればいいものを
私の気持ちを、
心の声を、
イメージを、
細切れにしては意味不明な暗号に仕立て上げる。
おちょくっているのか
便利な機械はこうもたやすく
落とし穴にはまる機会を与えてくれる。
ああ、ああ、もう
何もかも台無しだ。
マウスをちょろちょろさせても解決策は見当たらない。
その間にイメージはひょろひょろと枯れ出し、私の気分はいっそう悪くなる。
耐えかねて、この苛々ばかりが山積みになる状況を、あきらめては見るものの
まだ、どこか納得できないでいたりするから、今度はずっとモヤモヤとする。
ちょっとでっかい板チョコみたいな、食えもしないこんなやつに
朝から振り回されて
私はなんて可哀想なやつなんだと
こんな愚痴をタタタと打ち込む。
自ら言葉をぽつぽつと細切れにしなければならない状況は
さりげなく笑いたくもなる。
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