白鳥座/まどろむ海月
{引用=
明け方の空に
白鳥座は見えないのですが
九月なら9時ごろ
天頂に見えます
あるとき あの人は
白鳥に呑まれた魚だった
その十字架にぶらさがったときも
彼を支配したのは
怒りでも絶望でもなかった
その秘蹟の根底にあったのは
底知れぬ叡智でも
山を動かすような力でも
火に身を投じるような
献身や勇気でさえなかった
右の頬を打たれたら
左の頬を差し出せと
汝の敵を愛せと
言い切る宗教が
その愛の神の名において
流血を繰り返し
一つの民族を抹殺するほどの
虐殺さえ支えてしまうとき
その狂
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