カタパルト紙飛行機/悠詩
 
タパルト飛行機
追い風を待ちながら
時の圧力に機体がくびれそう

(レミングは風の声にふと顔をあげた)
のけぞった翼のささやき
飛行機は何色にも染まっていない
ガラスケースに閉じこめられるためにあるのなら
その部屋の隅にひっそりと影を落とす
一輪挿しを妬み続けるだろう

カッターナイフに抉られたふくよかな指は
赤い涙で何を求めていた?
大人になれば忘れてしまう傷を
ここで捨て行くつもりか



飛ぶための理由がいるというのなら
大地に叩きつけられるために飛ぶ




向かい風が頬を殴る
踏み切りの警報音はとうに已(や)み
野原とを隔てるあず
[次のページ]
戻る   Point(2)