夜少し前/
松本 涼
慌ただしい今日の影が
私鉄電車の線路の上で
蒸発していく
なぜこんなにも美しく
空は色の層を創るのだろう
混ざり合わない
それぞれの憧憬を
ほんのひと時
寄り添わせるように
見つめられる遠さ
映し出せる瞬間
聞き取れる音
伝えられる振動
限られた世界の端も
僕はまだ知らない
そして限りがないことも
ゆっくりと熱した
バターのように
また空に
夜が溶けていく
戻る
編
削
Point
(7)