●そろもん最後の栞/みつべえ
 
この連作「そろもん」は、五行というフォルムそのものがテーマでした。大局的には、それ自体が現代詩的構文のアンチテーゼとして機能することを目論んだと、とりあえず言っておきます。でも内実は、きわめて個人的なプロジェクトでした。つまり、五行という制約のなかに、どれだけの広がりを実現できるか、そのために長期的な持続をもって、内なる慣用句や紋切り型の表現を洗いだし、私=言葉という錯誤された関係の無効を再確認すること。そうして、できうるならば、みずからの内部に擾乱をひきおこし、創造的な解体と否定に向かう新たな道を見いだす企てでもありました。しかし、そこに至るには、いまひとつ狂気が足りなかったようです。思った以上
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