誰かが去ったあとを見る/モーヌ。
 



増水の ために

すっかり 荒れはてて しまった

堤の かよって ゆく なかを

猫じゃらしを 噛み ながら

草ひばりの 音が ほそぼそと つづく

すすき野原を 分け 入って

高原に いた 休暇の 詩人を

ふと おもう





月の 裏側を 見る ように

そんな 日よりの 昼間の 空に だって

星や 星座は いっぱいに 満ちて いて

浮雲の ふちの 枯れた庭 から 流れ星が 落ちる

ああ あの 星の 雨つぶも 望みながら 落ちて いったな...

塗りつぶす ような 青空と 地平の えくぼの なかに


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