夕暮れの光景の彼方から/前田ふむふむ
 
刻を抱きながら。

・ ・・・・・

二週間分の薬をもらって、病院をでる。
無機質な感覚が、全身を覆い、
行き交う人々は、形而上学を操る言葉を吐いて、
わたしに、答えられない質問をしているようで、
機械のように、決められた道をとおり、
一目散に、家路をかけた。
山がたくさんあった。
川は、一途にひかりを放っていた。
海も、顔の違う姿をみせて、引き出しの多さを、
誇示しているようだった。

白昼をつくる太陽が、
器用に、わたしの置き場所を、
小さな採光だけが届く、輪のなかに収めて、
落ち着いた安らぎをあたえてくれていたが、
やがて、絶え間ない孤独が、沸きあがり、
[次のページ]
戻る   Point(18)