鍵っ子の行く道/なかがわひろか
 
鍵っ子が道を尋ねてきた
僕の帰る方向はどちらですか
僕は少しいじわるをして
どちらでもない真反対の道を指さした

鍵っ子はありがとうとお礼を言って
その方向へと歩き出した
僕は面白そうだったので
鍵っ子の後をそっと追いかけた

鍵っ子はたくさんの鍵を持っていた
道行く先々でいろんな物を開けていった
お腹が空くと適当な家のドアを開けて
台所で夕飯のおかずをつまみ食いした

食べることに飽きたら
鍵っ子は二階へ上がって
その家の子どもの部屋らしい部屋のドアを開けて
きっと女の子だろう机の引き出しを開けて
少女の日記を読み出した

[次のページ]
戻る   Point(0)