死ねない日。/大西 チハル
 

朝、とても慌てていて
とにかく、慌てていて
うっかり捨てそびれていた
穴のあいたパンツをはいてきてしまった。

気がついた時には
私の体は宙に舞っていて
遠くで
誰かの叫ぶ声がして
家族と友達と恋人と
なんでだか
はじめての男までが笑っていて

いや、もう、そんなことはどうでもよくて
痛みも感じないんだけど

私を助けに来てくれた
救急車の人やお医者さんに
私の穴のあいたパンツを発見されるくらいなら
死んだ方がマシだ。

ん?

いや、死んではだめだ。
死ねない。
今日だけは死ねない。

もし、今日死んでしまったら
私の最後は
「穴のあ
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