しずく〜きみと揺れた夏〜/青の詩人
 


しずく
きみに会いたくて
眠らずに朝を待ってる

そんな朝にかぎって
きみに会えるから
寒い夜が好きだ


しずく
そのまぶしい肌
透き通るこころ

あまりにかよわいきみは
巨大な動物が蠢きだすと
この世界から消えてしまう


しずく
毎朝 少しだけきみに会えるね
だから寂しくはないんだ
だけど抱きしめられないのは
やっぱり切ない

ぼくはただ風に揺れて
待つことしかできない
一枚の草だから


しずく
ぼく以外のだれかの上に
その体をあずけるのはやめておくれ
きみとだれかが混ざるのを見るたび
ぼくはどうにかなってしまいそうになる


しずく
きみと一緒に風に揺れた夏を
きみの温度を感じた夏を
いつかぼくは忘れてしまうだろう

その前に
ぼくだけのために
姿を見せて
笑ってほしい



こぼれた
しずく


きみはずっと
ぼくのなかにいたの






(「しずく〜きみと揺れた夏〜」より)


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